噛むと脳が活性化する?!噛むことと脳の関係とは…
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近年、様々な研究データから「咬合が脳を活性化させる」ということが明らかになっています。活発に動けば、集中力の向上やストレスの緩和、全身のリラックスなどにつながるでしょう。
一体どのようなメカニズムでどのような変化が起こるのか、記事の中で詳しく解説します。
正しい知識や対策を理解して実践することで、今後の生活がよりよいものとなるでしょう。ぜひ参考にしてください。
口腔周りは脳とつながっている!
食事の際にものを噛むことで、咀嚼筋だけでなく頬や唇の筋肉も発達します。また飲み込むときには口蓋筋や舌筋、咽頭の筋や舌骨筋群といった複数の筋が連動するので、それらの神経から脳へ指令が伝わる仕組みです。
さらに口の周りの神経は、咬合時に歯根付近の歯根膜や舌、複数の筋肉から伝わった感覚や情報を脳へ送り返す働きもしています。両者にはこのように密接なつながりがあり、情報伝達や指令によって咬合のスピードや力を調節しているのです。
【咬合時の刺激はどこへ伝達する?】
冒頭で「咬合が脳を活性化させる」とお話ししましたが、その動きは主に大脳皮質の感覚野や運動野、補足運動野で見られます。そのほか小脳や視床、島や弁蓋部に影響を与えることもあり、効果は計り知れません。
咬合時の食感や味覚、上下の歯が接する感覚などが視床を経由して様々な部分へ伝達するのです。ちなみに食べ物を咀嚼しても頬や舌が無傷で済んでいるのは、運動を操作する運動野や補足運動野、小脳などが活発に動くためです。
両者に、とても深い関わりがあることがわかりますね。
【咬合が脳を刺激するのはなぜ?】
ものを噛むと、五感の情報が脳に送られる仕組みです。ちなみに口腔内は非常に鋭敏な感覚を持っており、細い髪の毛が1本入り込んだだけでもすぐにわかります。
咬合によって脳に様々な情報が送られ、運動系と感覚系との間で多量の情報が行き来します。それと並行して、脳の色々な部位が活発に動くようになるという流れです。
咬合に見込める効果
1.認知力の向上
大脳皮質の約3割を占めている、額の裏側の前頭前野。感情制御や記憶管理、意思決定やコミュニケーションを司っている部分です。
意識的な咬合によって前頭前野が活発に動き、高齢者の認知力向上につながるでしょう。
2.記憶力アップ
脳の中央付近の海馬が刺激されることで、記憶力アップにつながります。
というのも脳に入った情報は、一度海馬で整理されたのち大脳皮質へ届けられます。
また方向や場所、位置情報を把握するといった空間認知能力も有しています。海馬の機能が低下すると、自分が今どこに立っているのかわからなくなってしまうでしょう。スルメなどを定期的に噛めば、記憶力向上が期待できます。テスト勉強のときに試してはいかがでしょうか。
ちなみに呼び方の由来は、形がタツノオトシゴに似ているためです。機会があれば、豆知識として家族や友人に教えてあげましょう。
歯を欠損すると何か影響はある?
海馬では日々新たな神経細胞が生まれていますが、歯を失くして本数が減少すると、それに伴い誕生する細胞数が減ります。また誕生した細胞が短命になるという難点もあり、神経細胞は減る一方になるでしょう。
実際に動物実験やヒトを対象とした調査で、歯の本数と海馬の容積の減少が比例することが明らかになっています。
ただ、その中で「ほぼすべての歯を失くしていても、義歯を使っている人はそうでない人に比べて認知症を発症しにくい」というデータも存在します。
欠損歯が増えてきても、義歯などの補綴治療を行なうことで脳の機能をキープできるでしょう。咬合力を維持させることが重要です。
●不快感やストレスの軽減
脳の中には扁桃体という、五感からの刺激を快or不快で判別する部分があります。
ガムやスルメを噛むことで扁桃体の働きが抑制され、不快のシグナルが大脳へ送られにくくなった結果ストレスを感じにくくなるでしょう。
過去にヒトを対象として、イヤな音を聴きながらガムを噛むという実験が行われました。イヤな音を聴くことでストレスが増大し、扁桃体の活動が活発になったそうです。しかしそこに「ガムを噛む」というプロセスを加えることで、ストレスが減少して扁桃体の動きも低下したのです。
●幸福度の上昇
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、精神の安定に欠かせない脳内物質です。セロトニンは咬合によって増加しますが、何らかの事情で分泌量が減ると不安や目覚めの悪さ、集中力の低下などにつながります。
多く分泌するには、一定のリズムで同様の動きをリピートする「リズム運動」がおすすめです。食べ物の咀嚼はまさにリズム運動であり、誰でも毎日のように行なっていることです。何気なくやっていることが、日常生活における幸福度を増大させているのです。
まとめ
専門用語が多く、少し難しい話でしたが理解できたでしょうか?
日本の平均寿命はどんどん延びており、人生100年時代とも言われています。数十年後には、さらに長寿大国となっているかもしれませんね。今回紹介した情報を参考にして、歯だけでなく脳や全身の健康をキープしましょう。
最後に本記事のおさらいですが、脳を活発に動かすには食事のときによく噛むことが重要です。たまにはガムやスルメなどを口に入れて、積極的に動かす習慣を身につけましょう。小腹が空いたときに取り入れれば、満腹感も得やすくなっておすすめです。ただ糖分が多いと口腔トラブルの原因になるので、できればシュガーレスの硬いガムを選びましょう。