インプラントオーバーデンチャーとは
総入れ歯をインプラントで固定する治療
インプラントオーバーデンチャーとは、残存している歯やインプラントの上に入れ歯を装着する治療法の一種です。見た目は総入れ歯に似ていますが、通常の入れ歯が粘膜によって支えられるのに対し、インプラントオーバーデンチャーは歯やインプラントが支えとなるため、安定性が高く、強い噛み合わせ力を発揮するのが特徴です。
オーバーデンチャーは、総入れ歯や部分入れ歯のどちらにも対応できる柔軟な治療法です。その構造は非常にシンプルで修理がしやすいことから、以前は多くの臨床で採用されていました。しかし、設計やデザインが重要なため、患者様の口腔状態や欠損部位に応じた精密な作成が必要です。
歯科用CTを活用
歯科医療全般において利用されるCT撮影。インプラント手術においては、さらに正確かつ精密な診断が必要です。CT撮影を利用して問題がある部位を3D画像で撮影すれば、インプラント埋入部分の骨の状態を切開せず把握できます。ほかにもCT撮影を利用すれば、神経の位置を把握でき、神経を痛めず治療が可能です。
インプラントオーバーデンチャーの特徴
1. 高い安定性
インプラントオーバーデンチャーは、通常の入れ歯とは異なり、歯茎だけでなくインプラント(人工歯根)に固定されます。そのため、入れ歯が動きにくく、装着時の安定性が高いです。これにより、食事や会話の際もズレにくく、安心感が得られます。
2. 強い噛む力
インプラントが入れ歯を支えるため、噛む力が自然歯に近くなります。従来の入れ歯と比べて、食べ物をしっかり噛むことができるため、硬いものでも問題なく食べられるようになります。
3. 骨の吸収を抑える
インプラントは顎の骨と結合しているため、咀嚼による刺激が骨に伝わります。これにより、顎骨の吸収(骨の痩せ)が抑えられ、顎の骨が安定しやすくなります。通常の入れ歯では骨の吸収が進みやすいですが、インプラントオーバーデンチャーはこの問題を軽減します。
4. 快適な装着感
インプラントによって固定されるため、入れ歯の裏側が比較的薄く設計でき、口腔内の違和感が少なくなります。口蓋(上顎の天井部分)を覆うことも少なく、発音や飲み込みの際の不快感も軽減されます。
5. 取り外し可能
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントに装着されるとはいえ、取り外しが可能な構造になっています。そのため、日常的なメンテナンスや清掃がしやすく、衛生的に保ちやすいです。
インプラントオーバーデンチャーの取り付け
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントによって入れ歯を安定させ、噛む力や装着感を向上させる仕組みです。
インプラントオーバーデンチャーの治療は、まず顎の骨に複数のインプラント(人工歯根)を埋め込むことから始まります。インプラントは通常、2本から4本ほど埋入されますが、患者の骨量や口腔の状態によって異なります。
インプラントが安定した後、インプラントの上に「アタッチメント」と呼ばれる部品が取り付けられます。アタッチメントは、入れ歯をインプラントに固定するための重要な役割を担っています。
アタッチメントが装着された後、専用に作られた入れ歯(オーバーデンチャー)がインプラントとアタッチメントにフィットするように取り付けられます。
インプラントオーバーデンチャーはこんな方におすすめ
・総入れ歯で噛みあわあせがあっていない方 ・30代〜50代で総入れ歯を使用している方 ・できるだけ体に負担をかけたくない方 ・カタつく、外れる、噛みにくい、歯茎が痛い ・入れ歯のせいで、好きなものを食べれない方 ・人前で思いっきり笑えるようになりたい方
インプラントオーバーデンチャーができない場合
1. 顎の骨が不足している場合
インプラントを埋め込むためには、十分な量の顎の骨が必要です。しかし、長期間入れ歯を使用していた場合や骨吸収が進んでいる場合は、顎の骨が痩せていることがあり、インプラントの固定が難しくなります。このような場合、骨を増やすための骨移植や骨造成といった追加の手術が必要になることもあります。
2. 全身疾患がある場合
重度の糖尿病、心疾患、血液疾患などの全身的な健康問題がある方は、インプラント手術がリスクとなることがあります。これらの疾患がある場合、治癒が遅れたり、感染のリスクが高まったりするため、安全性を考慮してインプラント治療が避けられることがあります。
3. 喫煙者の場合
喫煙はインプラント治療の成功率に影響を与えます。喫煙は血流を悪化させ、インプラント周囲の組織の治癒を妨げるため、オッセオインテグレーション(骨との結合)がうまくいかないリスクが高くなります。そのため、喫煙者はインプラント治療を断られることがあるか、禁煙が推奨されます。
他院で治療を断られた経験はありませんか?
かずま歯科医院には、何らかの理由で他院での治療を断られたという患者さまがしばしば来院されます。 インプラントは、歯科治療の中でも比較的難易度が高い治療の一つです。そのため骨量不足や厚みが足りていないことを理由に、治療を断られてしまうことがあります。
そのような症例において、当院では「骨造成」という処置を行うことでインプラントを可能にします。 顎骨の厚み不足や歯周病を始めとした口腔トラブル、抜歯後に放置しすぎて骨を失ってしまったなど…。 このような事情で治療を諦める前に、一度当院へご相談ください。他院ではお断りされた症例でも、治療できる場合があります。
治療の流れ
step01診査と治療計画
個人差がありますが、まず失われた歯の数、インプラントを埋め込む骨の位置、硬さ、大きさ、歯にかかる力の方向や強さによって選択肢が変わります。衛生管理を十分に考慮し、話し合いを重ねながら総合的に検討した治療計画を立てます。
step02一次手術
顎の骨にインプラントを埋め込みます。
step03治療期間
一次手術、顎の骨にインプラントを埋め込んだ後、3~6ヵ月後くらいでインプラントと骨が強い力で結合します。これをオッセオインテグレーションと呼び、この期間に仮の歯を使用することもあります。
step04二次手術
歯ぐきを開き、歯ぐきが治るまで1~6週間ほど人工歯を入れる準備をします。
step04人工の歯を作製・装着
歯ぐきが治れば型を取って人工歯を作成します。この人工歯は人それぞれちがうもので、形や色などをケースバイケースで作製しインプラントに装着します。
step06メンテナンスと定期検診
インプラントはもちろんのこと、口の中全体が衛生的に保てているかどうか、ブラッシングの指導を受けながらメンテナンス方法を確認していただきます。そのほか、半年に1回程度の定期検診を受け、インプラントや人工歯の状態などを診断いたします。
料金
カウンセリング・CT検査 |
|
---|---|
手術費用 |
|
上部構造 |
|
オプション |
|
※料金は税抜き表記です。
注意すべき点
インプラントは天然歯に比べて炎症に弱いため、インプラント周囲炎に注意が必要です。これは、歯周病菌によって引き起こされる炎症で、放置するとインプラントが抜け落ちる原因になります。
症状:歯茎の腫れや出血、インプラント周辺の痛みが現れたら、すぐに歯科医師に相談しましょう。
予防:毎日の丁寧なブラッシングと定期的なプロフェッショナルクリーニングが重要です。
メンテナンスについて
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントと入れ歯の両方のお手入れが必要です。特に、インプラント周囲炎(インプラント周辺の炎症)は、歯周病と同様にインプラントを失う原因となります。
お手入れ:専用のブラシや歯間ブラシ、洗浄剤を使用し、毎日丁寧に清掃しましょう。
定期検診:歯科医院での定期的なクリーニングとチェックが欠かせません。歯石の除去や入れ歯の調整が必要になることがあります。
よくある質問
健康保険証をお持ち頂き、ご来院下さい。
従来のインプラントは人工歯が異様に長い、インプラント体が歯茎から見えてしまって目立つという見た目の課題がありました。これは顎の骨の高さや幅が足りなくてもそのままインプラントを埋め込んでしまったからです。
現在は自家骨移植などによって顎の骨を十分に増やしてからインプラントを埋め込み、ご自身の歯とあまり変わらないくらいの美しさに仕上がっています。
もちろん、増骨は簡単なことではないため、知識と経験が豊富な歯科医を熟考し選ぶ必要があることはいうまでもありません。仕上がりには個人差がありますので、専門医としっかりカウンセリングを重ね、美しい歯を手に入れてください。
インプラントをしても不自然な見た目になりませんか?
紹介状やお薬手帳がございましたら、併せてお持ち下さい。
インプラント治療中に食事はできますか?
特に硬いものや仮歯に負担がかからなければ通常通りにできます。仮歯はプラスチック製のため破損する可能性があり、強い負担のかかるような硬いものは食べづらいです。
見た目は回復しますか?
プラスチック製の仮歯を装着して最終的な人工歯が入るまでフォローするので、見た目の心配は不要です。
歯がぜんぜんないのですが、インプラントは可能ですか?
歯がない場合は上顎、下顎に各5~6本のインプラントを埋入し、このインプラントの上に、繋がった人工歯を入れます。総入れ歯とは違い、顎の骨にしっかり固定されるため食事や会話の際にも問題になりません。
また、オール・オン4と呼ばれる歯がぜんぜんない場合にも適した先進治療法があります。これは4本のインプラントで上部構造を支えるシステムで、手術当日から固定性の仮歯を入れて食事ができます。オール・オン4は、世界で急速に普及した必要最小限の本数で最大の効果を上げるインプラントです。
他院では歯周病のためインプラントができないと言われたのですが…
歯周病があるときは歯周病の治療を行ってからインプラント治療を行うのが理想的です。歯周病のままインプラントをしても、治療後の残存率(寿命)が低く効果的ではないからです。歯周病により歯が大きく欠損しているときは、まず骨の増殖が優先されます。
ブリッジと入れ歯とインプラントの違いって何ですか?
ブリッジは歯のない部分の両隣の歯を削って連結した形の冠をかぶせます。
ブリッジの長所は、治療期間が短く、固定式で違和感がなく、銀色の場合は保険で治療できることです。短所は、両隣の歯を土台にするため、健康な歯を削る必要があるだけではなく、土台になる歯の状態が悪い場合はできない場合があることです。
入れ歯は、歯のない部分に取りつける取可能な装置です。
入れ歯の長所は、治療期間が短く、歯を大きく削らなくてよく、清掃しやすいことです。短所は、異物感があり、噛む力が天然歯の15%程度で、審美性に欠け、歯茎がどんどんやせていくことです。
インプラントは、手術により人工歯の根っこを骨に埋め込み、その上に人工歯を固定します。
長所は、自分の歯と同じように噛め、両隣を削らずにすみ、ほかの歯に負担をかけず、審美性に優れ、固定式で違和感がないなどです。短所は、手術が必要で、保険適用外で、治療期間が長く、骨の状態によってはできない場合があることが挙げられます。
歯の健康を保つには、物をしっかり噛むことが重要になります。これはQOL(Quality of Life)、生活の質向上の秘訣です。